2024/03/13
令和6年能登半島地震
防災用機器製造・販売のテレネット(長野県飯田市、青山貴子社長)は、能登半島地震の被災地で復旧活動を行う自治体や企業にスマートフォン型災害用無線機「ハザードトークM1(エムワン)」とモバイルルータ「N3(エヌスリー)アクセス」を貸し出している。
復旧支援に少しでも役に立ててほしいという思いで始めた取り組み。「アクセスが寸断された被災地で、通信の不安を抱えながらの活動は負荷が大きい。その不安だけでも払拭して作業にあたってほしいと考えた」と、同社広報担当でシニアプロモーションマネージャーの磯田宗人氏は話す。
1月5日にレンタルを開始すると、現地の活動にあたって無線機の数を確保したい既存ユーザーらが反応。これまでに「ハザードトークM1」を9団体に42台、「N3アクセス」を7団体に48台貸し出した。一部の団体は現在も継続して使用しているという。
ハザードトークは、法人向けデータ帯域を使って通信を行う仕組み。音声を瞬時にパケットに変換して相手に送ることで、輻そうや通話制限の影響を受けにくい。全体通話のほか緊急時にメリットがあるグループ通話、写真・動画・位置情報をプロットしての情報共有、気象庁の緊急速報の受信など、災害時に特化した機能を装備する。
また、モバイルルータのN3アクセスは大手4キャリアから最も強い電波を自動で受信。通信環境が不安定になるなか、電波状況がよいキャリアを選択できるようにすることで通信の冗長性を確保する。車両のシガーソケットから充電が可能だ。
磯田氏によると、停電が長期化した奥能登エリアでは今回、携帯基地局の非常用発電機をまわすためそれぞれに燃料補給が求められた。「ある企業はタンクローリー20台以上を派遣して200カ所以上の鉄塔に給油。そうした活動の際、ハザードトークとN3アクセスの両方を重宝に使ってもらった」という。
「今回は震災の復旧に対する支援だったが、防災用機器の製造・販売をしている会社として、社会貢献は常に考えていかないといけない」と磯田氏。今後も、依頼があれば引き続き機器の貸し出しを行っていく。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年6月18日配信アーカイブ】
【6月18日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:「令和6年版防災白書」を読み解く
2024/06/18
-
富士山噴火における首都圏企業の対応行動できなくなることを前提に備蓄の強化を
死者・行方不明者63人を出した御嶽山の噴火から9月27日で10年を迎える。令和6年防災白書では、特集1として火山噴火への備えを掲載し、制度の改正や各地の火山防災の取り組みを紹介した。一方、降灰により首都圏に大きな被害をもたらす可能性が指摘される富士山の噴火については、まだまだ対策が十分とは言えない状況で、具体的にどう対策を進めていけばいいのか悩みを抱える企業も少なくない。山梨県富士山科学研究所所長で東京大学名誉教授の藤井敏嗣氏に、首都圏における企業の対策のあり方を聞いた。
2024/06/18
-
安易にさわると火傷するOT環境のシビアさ
PART1では、企業を取り巻くデジタルリスクの現状と課題を見てきました。PART2はモノの生産に直接関わる工場に焦点をあてます。OTがITと融合しインターネットにつながることで、これまでにない脅威が侵入している生産環境。PwCコンサルティングの上村益永氏に、工場のシステムリスクとセキュリティー対策の取り組みを聞きました。
2024/06/17
-
最も対策ができていないのは「過去の降水量調査」自社施設の浸水リスク「不明」との回答も多数
リスク対策.comはこのほど、企業の水害対策の取り組み状況を把握するとともに、BCPにおける課題を明らかにするため、豪雨災害を想定したシミュレーション型のアンケートを実施した。アンケートは、6月のある日、大雨が降りだし、線状降水帯なども発生し、企業が被災するというシナリオを、フェーズごと20の質問にして提示し、企業が各シナリオに対してどの程度備えているかを「1.全くしていない」~「5.かなりしっかりしている」の5段階で自己評価してもらった。リスク対策.comのメールマガジンの購読者および全国の経営層を対象にしたインターネット調査で計667件の有効回答を得た。
2024/06/15
-
-
-
危機管理担当者も押さえておきたいソフトウェアサプライチェーンにおけるSBOM管理の基本知識と企業への影響
本勉強会では、株式会社日立ソリューションズのSBOMエバンジェリストである渡邊 歩氏にSBOMの基本的な知識をわかりやすく説明していただくとともに、グローバルに加速するSBOMが必要とされる社会的背景と、企業経営や事業活動に及ぼす影響についても解説していただきました。2024年6月7日開催。
2024/06/12
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年6月11日配信アーカイブ】
【6月11日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:BCP支援のあり方
2024/06/11
-
基本からわかる脱炭素対策!排出量の算定と効果的な削減方法を徹底解説
本勉強会では、排出量の算定と効果的な削減方法について解説していただきました。2024年5月28日開催。
2024/06/06
-
デジタルインシデントはハザード級になっている
システムトラブルに起因するインシデントが多発しています。業務システムが大きく複雑になるほど、止まったときの影響も甚大。DX が進むことで、それはハザード(災害)級になりつつあります。神戸大学大学院工学研究科特命教授の森井昌克氏に、企業を取り巻くデジタルリスクの現状と課題、対応策を聞きました。
2024/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方